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昔の人々と時間を超えて向き合う楽しさ

考古学、古墳の魅力はこんなところ

考古学とは?

 考古学というと皆さんはどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。恐竜?はじめ人間〇〇のような原始人?はたまた映画にあるようなダンジョンでの大冒険?
 ここではまず、考古学とはどのようなものか、ざっくりと解説します。

 
古墳を発掘する風景

考古学はなにを明らかにする?

 考古学といえばピラミッドや恐竜!という人も多いかもしれません。実はこれは半分だけ正解です。考古学の目的は、「人類」の過去の活動について明らかにすることです。恐竜が繁栄した時代、まだ人類は出現していません。そのため、恐竜の化石などを扱うのは「考古学者」ではなく「古生物学者」となります。
 一方、みなさんのイメージにないようなものも、考古学の対象だったりします。たとえば日本の場合、きらびやかな宮中の物語がある平安時代や、著名人(?)がたくさんいる戦国時代、江戸時代などは文字が豊富に残されているため、一見考古学の出番がないようにも思えます。しかし実は、文献に残されるのは社会のごく一部の人々についてだけであることも多いのです。こうした時代の民衆の暮らしなどを明らかにしたり、あるいは文字資料では不確かなことを実際に発掘調査で検証したり、考古学の出番は古代だけにとどまらないのです。また近年は近代の遺跡もその重要性が明らかになってきており、砲台跡などの軍事施設で実際に発掘調査が実施されています。

発掘調査とは?

 発掘調査というと、宝さがしのようなイメージが強いかもしれません。しかし、実際の発掘調査では、宝物と言うには、ほど遠いような、ちいさな土器のひとかけらや、時には非常に腐りやすい有機質の残片(布や木など)を、慎重に掘り出していきます。そのような派手な宝物でなくとも、実はそこにも大変重要な考古学的情報がたくさん含まれているのです。
 また、やみくもに掘り出すのではなく、そのモノが、どういう経緯でその場所、その深さに埋まることになったのかを明らかにすることも大切です。そのために、発掘調査の際には、モノが埋まっている土の性質や標高など、たくさんのデータを記録する必要があります。
 今回のプロジェクトで対象としている野中古墳は、50年以上も前に発掘調査がおこなわれましたが、その当時としては現在でも引けを取らない丹念な調査がなされました。野中古墳での2000点以上の出土品を丁寧に掘り出す作業に、先達の労苦がしのばれます。

 
京都府大谷3号窯出土の土器(9世紀)
京都府西山1号窯(10~11世紀)の発掘調査
 
報告書

発掘の成果をひろく公開する

 こうして発掘調査をおこなえば、当然得られる資料・データは膨大なものになります。これらを発掘調査の後に、丹念に整理・分析する「整理作業」は、現地での発掘作業とあわせて考古学的調査の両輪であるといえるでしょう。厳密には、その整理作業は、現地での発掘の何倍、何十倍の時間と労力がかかります。
 整理されたデータや考察を総合して、最終的に『発掘調査報告書』として世にだされます。『発掘調査報告書』は、一見地味な作業を積み重ねてようやく完成します。調査担当者の努力の結晶といえるのです。ただ、学問的な内容となりますので、一般の皆さんに読んでもらうには、難解な部分も少なくありません。
 そこで、少しでもみなさまに古墳の価値をしってもらうべく、今回HPを作成しました。その際、出土品の三次元計測・モデル化をおこない、ビジュアル的にもわかりやすい内容を目指しました。
 時間が空いた時など、少しずつでも読み進めてもらえれば幸いです。

野中古墳コンテンツ

プロジェクト概要

大阪大学が発掘調査をおこなった野中古墳の出土品をもとに「古墳の価値を未来に―出土品の3D計測プロジェクト―」を実施しました。その概要をお伝えします。

 

百舌鳥・古市古墳群

野中古墳を含む、大阪府の百舌鳥・古市古墳群は、2019年7月6日にユネスコ世界文化遺産に登録され、注目を集める日本最大級の古墳群です。 

 

野中古墳3D映像

野中古墳から出土した豊富な武器・武具類。その一部を3D映像でご覧いただけます。

 

解説!古墳時代

みなさんに古墳のことを知っていただくために、古墳の形、装飾、副葬品や百舌鳥・古市古墳群について解説しています。